こんちわ。いつもは、ヘルメット+作業着で工事現場にIoTを導入しているスタートアップの人です。
石川幸佑と申します。
今回の吉祥寺の工事現場は現在のIOTスタートアップは関与していません。
しかしながら、このような事態を防げるようなサービスを提供しているため、本件について記載してみたいと思います。
JR吉祥寺駅から徒歩約5分の場所に立つ東急百貨店吉祥寺店の北側の道路。
ごみ収集車に乗っていた作業員が通報したことにより発覚しました。
幸いにも作業員の方に怪我はなかったようです。
ニュースについては以下をご覧いただけると状況がわかります。
原因は隣接する土留工事か?
今回の工事は地下2階建てのビルを建設する工事だったようです。
一部の報道にもあるように道路の陥没は隣接する工事現場の「土留め(どどめ)」工事が原因ではないかとされています。
土留め工事とは、地下を掘っていくときに周囲の土砂が工事現場に流れ込まないように土を留める工事のことです。
壁と突っ張り棒
吉祥寺の工事現場では2つの点に注目してみようと思います。
1つ目は壁です。
道路側の土砂が流れ込まないようにするためには、壁(土留壁:どどめへき)が必要になります。
吉祥寺の工事現場では、以前の建築物の一部(灰色のコンクリート)が壁として流用されていました。
ちなみに、今回は以前の建築物の一部を壁として使っています。
以下の写真のように、鋼材や木材などを組み合わせて壁をつくっている場合もあります。
2つ目は突っ張り棒です。
今回は壁が倒れてこないようにする突っ張り棒(切梁:きりばり)も設置されていました。吉祥寺の画像の茶色い鋼材です。
想定される陥没までのプロセス
工事現場で地下を掘削している期間中は、道路側の土砂が土留壁を押していることになります。
原因は定かではありませんが、
壁の強度が想定よりも小さかったため、壁が壊れたり、動いてしまった。
そこから道路側の土砂が工事現場に入り込こんだ。
道路側の土砂が工事現場に流れ続けて、道路が陥没したということが考えられます。
多様な人々が関係している工事現場
このような工事を行う場合は様々なことをしなければなりません。
さらに、以下のようなことを建設会社1社でやっているわけではなく、専門的な技術や知見をもった会社が協力して1つの工事現場で活動しています。
・壁の強度の計算
・工事現場付近の地質や土砂が壁を押す力の計算
・工事に適切な資材の調達
・工事に必要な重機の手配
・工事手法の検討
・工事の申請や認可
・工事の進捗管理
・工事中の壁などのモニタリング
どれか1つでも、欠けていたり、間違っていると
工事現場は止まってしまったり、最悪の場合、事故が発生してしまいます。
このような多様な人々(専門会社)協力しあっている工事現場で、
今のスタートアップでは「工事中の壁などのモニタリング」に関するサービスを提供しています。
安全に工事を進めるためのモニタリング
IOTスタートアップでは、突っ張り棒(切梁:きりばり)にかかる力をモニタリングするサービスを建設会社に提供しています。
従来では、
突っ張り棒にかかる力を知るには、工事現場にアナログのメーターを設置して、
人が目視で確認するという手法をとっていました。
これらのメーターを建設会社の人が朝、昼、夕方など1日に数回巡回して、
ノートに記入するという管理の仕方です。
もし、メーターが設計していたよりも大きい数字(力)を示していた場合、
工事をストップします。
建設会社の人は、現場の進捗管理が大変なあまり、
時として突っ張り棒にかかる力のメーターのチェックを怠ってしまうこともあるそうです。
このような従来の作業を
センサと通信機を活用して、自動で突っ張り棒にかかる力をスマートフォンに送信するというサービスを提供しています。
よければ動画も御覧ください!!
吉祥寺の工事でけが人が出なかったことは不幸中の幸いだと言えると思います。
このようなテクノロジーで安全な工事進行をサポートできればと思い、日々工事現場で活動しています!!
著者紹介:石川幸佑(イシカワ コウスケ)
IoTのスタートアップCACH(カック)のCOO(最高執行責任者)で、工事現場や社会インフラ(橋、トンネル)の維持管理の課題解決のためにデジタルトランスフォーメーションを推進中。
経歴はIT企業、SDGs関連のコンサルティング企業、米国のリサイクルスタートアップを経験後、NEDO事業の起業家候補(スタートアップイノベーター:SUI)支援や、東京都の創業支援施設のコミュニティマネージャーとして、多くの起業家やスタートアップの支援を実施。
トレラン後の風呂とサウナが好き。
Comments