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  • 執筆者の写真石川幸佑

スタートアップが大企業とコラボするときの罠:スピードの喪失

更新日:2021年2月28日


本記事は1つの特定の企業ではなく、これまで自分が数社の大企業との関わりで経験したことをもとに記載している。


本記事が誰を対象としているか

・最も読んでいただきたいのはスタートアップでこれから大企業と何かをはじめたい方

・大企業の社長を始め、上層部の意思決定の方々




圧倒的なスピード感の違い

スタートアップにとって最も重要なリソース。


それは時間であり、スピードだ。


「競合企業の大企業🅰社に対して、スタートアップ🅱社が勝てる要素はなにか?」


相手が大きければ大きい企業であるほど、スピードという要素が結果影響をあたえる、





スタートアップは

スピーディーに顧客にインタビューし、

スピーディーにプロトタイプを作成し、

スピーディーに顧客にフィードバックをもらう。

これを繰り返す。




大企業でこれらのことを1回まわすだけでも、

膨大な「計画」の時間があり、

数多くの「説明」があり、

ナゾの「承認」が必要になる。




何が大企業のスピードを遅らせるのか

自分も200人規模の会社にいたことがあり、

大きい組織としての仕組みや作法のようなものを経験した。

さらには現在のスタートアップとしての経験をもとに何が大企業のスピードを遅らせるのか。



・上司(意思決定者へと続く階級)への説明と承認


誰の合意がないと、そのプロジェクトは進められないか。

部長、本部長、役員、社長なのか。長く続く、階段のどこまでのぼる必要があるのか。


階段をのぼるにつれて、説明のタイミングが限定される。

経営会議とか、なんとか定例にしか決定ができないからだ。




・関係者(意思決定者ではないのに、報告しないとならない人)へのネマワシ


大企業はいろんな人のメンツ、テリトリー、利権が絡んでいる。

それ故に、意思決定者でもないのに説明が必要な人がいる。

そして、組織が大きくなればなるほどその関係者は多くなる。



誰からネマワシするのか。

どのタイミングでネマワシするのか。を考えなければならない。

スタートアップのようにSlackに一言投げるだけでは納得しない人は多くいる。



・説明やネマワシで使われる完成度の高い計画


50点くらいの計画をつくって、どんどんバージョンアップしていく。

やりながら修正していく。

というスタートアップの流儀は大企業では通らない。



「そんなのやってみないとわからないじゃないか」

という点についても、準備しておく必要が大企業にはある。

必要以上に完成度を求められる計画は時間がかかる。



・契約書


スタートアップはCEOないしはCXOが契約を進める。

もちろん顧問弁護士がいる場合もある。


大企業はやり取りをする部門(新規事業、技術開発)に加え法務部が存在する。

法務部はあまりスタートアップとの打合せには出てこない。


それもあり、大企業側のやりとりをする部門と法務部のコミュニケーションが重要になる。

ここで齟齬が生じてしまうと、契約書の文面に齟齬が現れる。



それを見たスタートアップは「なんか変だな」という違和感を感じ、大企業は法務部に事案を持ち帰り、時間がかかる。


ちなみに、大企業から差し出される契約書のテンプレートには大企業に都合のいい文面になっていることも多い。

スタートアップは自分たちだけでは判断できないため、これを顧問弁護士と相談する必要がある。




「待ち」の時間はスタートアップを死に追いやる

上記のような事態はスタートアップ自身でコントロールしにくい。

このような「待ち」の時間が生じてしまうと、以下のようなことが起きる

・チーム内の熱量が下がる

・キャッシュが減る

・組もうとしている大企業への不信感が募る


スタートアップは大企業という協業、パートナー、アライアンスを組むことによってメリットもあるが、その反面も大きくあることを想定していなければならない。



著者:石川幸佑

IoTのスタートアップCACH(カック)のCOO(最高執行責任者)で、工事現場や橋などの社会インフラの維持管理のDXを実施中。


経歴はIT企業、SDGs関連のコンサルティング企業、米国のリサイクルスタートアップを経験後、NEDOのSUI事業支援や東京都の創業支援施設のコミュニティマネージャーとして、多くの起業家やスタートアップの支援を実施。

トレラン後の風呂とサウナが好き。


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